カエルの合唱法則の実験的・数理的研究

日時

2021年1月13日(水)13:30-14:30

 

開催方法

Zoom配信
参加を希望される方は https://forms.gle/Z2npqsKrjigoxGSM8 から登録してください

 

講師

合原一究 氏
筑波大学システム情報系 准教授

 

要旨

田んぼに水が入ると、カエルが集団で鳴き始める。このようなカエルの合唱は日本各地で観察でき、夏の夜の風物詩と言えるだろう。カエルは鼓膜を備えており、他個体の鳴き声を認識できる。そのため、音声認識に基づく相互作用の結果、個体同士がタイミングを合わせて鳴く同期現象が観測できる。しかし、各個体がどのような法則に従って鳴くタイミングを調整するかはよくわかっていない。本発表では、ニホンアマガエルの発声行動を対象とした室内実験、野外調査、位相振動子モデルに基づく数理研究を紹介する。これにより、実際に鳴き声を計測する実験的アプローチと、現象の背後にある行動メカニズムを調べる数理的アプローチを組み合わせることでわかってきたカエルの合唱法則についてお話しする。

 


開催報告

MACS-SG6で外部講師によるセミナーを開催し、合原一究さん(筑波大学)に「カエルの合唱法則の実験的・数理的研究」というタイトル前半と後半の2部構成でお話しいただきました。

 

前半部分は、繁殖行動としてのニホンアマガエルのオスの鳴き声の観測結果について紹介の後、鳴き声を位相の時間発展として数理モデル化することについて丁寧に説明していただきました。それを元に、2匹以上のオスが鳴き声を通してどのように相互作用しているかについて、位相差とカエルの位置を考慮した数理モデルの振る舞いと実際の観測結果について整理していただきました。後半は、複数のカエルの鳴き声データから振動子の蔵本モデルの範囲でBayesの方法を用いてモデルパラメータを推定し、オス間の鳴き声を通したネットワーク構造について議論していただきました。また、ネットワーク構造とメスの行動の関係性など今後の展開が気になる話題も提供していただきました。

(文責: 太田洋輝)